労働者健康福祉機構 岡山産業保健推進センター

石綿飛散が想定される作業現場における石綿作業環境測定とマスク効率に関する調査について 

独立行政法人労働者健康福祉機構

岡山産業保健推進センター
所長 石川 紘 
副所長 須江 士郎  
相談員 西出 忠司
  〃  山本 秀樹
報道発表資料
岡山産業保健推進センターでは石綿除去作業に従事する労働者がマスクを正しく装着しているかどうかマスクのもれ率を測定する調査研究を平成18年度に行い、その結果がまとまったので下記のとおり発表します(詳細は別添報告書のとおり。)
調査の目的
石綿は平成189月より使用等が全面禁止となったが、石綿が使用されている家屋の解体作業や石綿除去作業等においては、今後も、作業に従事する労働者は高濃度の石綿粉じんを含む作業環境の中で作業を行うため、石綿粉じん吸入の危険があることが危惧され、マスクなどの保護具を労働者が装着することが不可欠である。しかし、マスクの使用法が適切でない場合は労働者を石綿のばく露から保護することはできないため、その正しい使用法を指導する必要があり、作業現場における実態を把握するため、当センターにおいて平成18年度に調査を行った。

調査の概要

  1.調査期間は平成184月から平成193月まで
  2.岡山県及び近県の除去作業等を行っている20現場、うち建設業労働災害防止協会の「建築物の解体等工事における石綿粉じんばく露防止マニュアル」でレベル1に分類される「石綿を含有する吹き付け材が使用された建築物等の解体等」の現場17、及びレベル2に分類される「石綿を含有する断熱材、保温材、耐火被覆材が使用された建築物等の解体等」の現場3において行った。

  3.対象者はレベル1の労働者97名とレベル2の労働者18名の計115名である。

  4.マスクのもれ率については、作業開始前に作業場外で大気中に浮遊する一般粉じんを対象として測定した
  5.レベル1の現場17箇所において作業室内の石綿濃度の測定を29回、レベル2の現場3箇所で5回測定した

結果の概要 

 1.レベル1の現場で作業に従事する労働者のマスクもれ率は平均5.6%、レベル2の現場では平均3.4%であった
 2.もれ率が5%以上の労働者の中で、髪の毛やタオル、防護服フードをマスクと顔面との間に挟んでいた、めがねを使用していた等不適切な装備をしていた7人(平均もれ率19.4%)に対しては、マスクの適切な使用方法を指導し、再測定した結果、もれ率が平均2.5%まで低下し、適切な指導により改善することが認められた
 3.マスクは作業に応じて空気中石綿濃度を参考に有効なものを選択する必要があるが、呼吸時に面体内が陽圧となる電動ファン付マスクのもれ率は他のマスクより一桁以上低い値となるものが多く見られ

考察

今後もれ率を可能な限り少なくするようマスクの選択、管理、マスクの装着法についてさらに周知徹底が必要と考える